気管虚脱

2021年12月25日

気管虚脱とは

気管虚脱とは、犬が息を吸ったときや吐いたときに、何らかの原因により気管軟骨が歪んだり潰れてしまうことで、空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなってしまう進行性の呼吸器の病気です。

気管虚脱の特徴は、ガーガーと言うアヒルのような呼吸音です。
軽症だと、喉に何か詰まったような咳や、むせるような様子をみせますが、重症になると呼吸困難によるチアノーゼ(舌の色が紫色に変色する)を起こしたり、失神を起こす場合があるので注意が必要です。

気管虚脱は重症度を表す4段階のグレードがあります。
・グレード1…最も軽症。気道の直径減少率は25パーセント程度
・グレード2…気道の直径減少率は50パーセント程度
・グレード3…気道の直径減少率は75パーセント程度
・グレード4…最も重症。気道の直径減少率は90パーセントを超える

気管虚脱は主に内科的治療で気管支拡張剤などを用いますが、気道の状況により手術を行う場合もあります。

気管虚脱の犬に注意してあげたいこと

気管虚脱は、首の圧迫により症状が出やすい点があるので、散歩の時は首輪よりもハーネスタイプを使用してあげることが大切なります。
チョークタイプは、特に首や気管への負担がかかることから、避けることを推奨します。
そして、気管虚脱は肥満体型の犬にもよく見られることがあります。
そのため、肥満を患わないようにコントロールしてあげることも大切なことなのです。

また、気管虚脱の症状は興奮時にもよく見られます。
よって、ペットをなるべく興奮させないように工夫をしてあげることも重要です。

気管虚脱の症状は、ウイルスや細菌感染によって気道の炎症が起こることにより、悪化することもありますので注意が必要です。

気管虚脱の症状

・乾いた咳が出る
・ガーガーという呼吸をする
・口を開けて苦しそうに呼吸する
・水を飲むとむせる
・呼吸がすぐに荒くなる
・体温が高くなる
・元気や食欲がなくなる
・歯茎や舌の色が紫色になる(チアノーゼ)

気管虚脱の原因

遺伝的要因が関わっていることが判明しているものの、具体的な原因はまだ不明とされています。
遺伝的要因で発症が多い傾向にある犬種はヨークシャテリア、ボメラニアン、チワワなどの小型愛玩犬です。

興奮し、吠えすぎて過呼吸に陥ったことが引き金になり発症することもありますし、気温の高い季節なども呼吸数が増えるため気管虚脱を発症する傾向が大きくなります。

その他、肥満や歯周病を患っている犬も発症する傾向が見られます。

気管虚脱の予防

気管虚脱の予防法は、好発犬種は特に気管に負担をかけないようにすることが重要です。
散歩は、首輪よりハーネスを使うようにし、犬を興奮させるようなことは避けましょう。
肥満も気管を圧迫するので、適正体重になるように食事や運動を管理してあげましょう。

さらに、犬の過ごす場所の気温が高いと呼吸が荒くなりがちですし、冷気や過剰な湿気、乾いた空気も気管の負担になるので温度管理を行ってあげましょう。
犬が過ごしやすい温度は21℃～25℃、湿度は50パーセント程度ですので、エアコンや暖房器具などを使ってできるだけ合わせてあげましょう。

また、歯周病が気管虚脱に繋がることもあるので、歯磨きを習慣にしたり、動物病院で歯石除去を行うなどのデンタルケアが予防に繋がります。