ジステンパーウイルス感染症

ジステンパーウイルス感染症とは

ジステンパーウイルス感染症とは、伝染性のウイルス感染症です。

ジステンパーウイルスは人間の『はしか』に似たウイルスで、感染後の発病は25%~75%、死亡率は50%~90%と言われています。
ウイルスは感染した犬の鼻水や唾液、血液、尿、便などの分泌物、排泄物などで確認されていることから、飛沫感染、接触感染が主です。
しかし、空気中を漂うこともあるため空気感染もあり得るウイルスです。

ジステンパーウイルス感染症を発病すると、治療に特効的な薬はなく対処療法のみですので、犬の生命運にかけるしかない病気です。
また、回復後も障害が残ってしまうケースが多いことが挙げられます。

ジステンパーウイルス感染症を患った犬は、終末期には、けいれん発作が止まらなくなることが多く、飼い主さんと獣医さんとの相談により、安楽死を選択することも多い病気です。

目次

ジステンパーウイルス感染症は幼少の子犬は特に注意が必要

ジステンパーウイルス感染症を発症した犬は、鼻水、くしゃみや咳、嘔吐や下痢(血便)などの呼吸器症状や消化器症状が現われます。
また、発熱、食欲不振などの症状も現れ体重減少や、免疫力の低下も引き起こします。
ジステンパーウイルス感染症は、肉球や鼻が硬く角質化してしまう、ハードパッドと呼ばれる症状があるのが特徴です。
そして、病気の進行により、ジステンパーウイルス脳炎を発症し、けいれん、震え、麻痺などの神経症状が現われることがあります。

健康な成犬であれば、感染初期の発熱後、自然治癒してしまうことがありますが、幼い子犬の場合は、元々の免疫が低いことから、再び発熱し重症となってしまうことが多いので、特に注意が必要です。

ジステンパーウイルス感染症の症状

・食欲低下
・鼻水が出る
・くしゃみをよくする
・咳をよくする
・黄色い目ヤニが出る(結膜炎)
・白目が赤く充血する(結膜炎)
・発熱
・腹痛
・お腹を触ると嫌がる、怒る
・嘔吐
・下痢(血便が見られることもある)
・痩せてしまう、骨が浮いて見える
・肉球が硬くなる、ひび割れる(ハードパッド)
・鼻が乾燥し、ツヤが無くなる、硬くなる(ハードパッド)
・脱水
・震える
・けいれん
・麻痺

ジステンパーウイルス感染症は、急性や亜急性、慢性がある

ジステンパーウイルス感染症は急性症、亜急性症、慢性症があります。

・急性症
急性症は、比較的幼い年齢の犬に発症します。
ジステンパーウイルスに感染し、約2週間程度で発症し、1度目の発熱が見られます。
しかし、その後発熱は一旦、おさまるので見逃してしまうことがあります。
そして、2度目の発熱を起こし、その時に呼吸器系、消化器系、神経系の症状が見られます。

・亜急性症
亜急性症は、急性症から回復した後、または急性症の症状がハッキリと現われずに急性症を乗り越えた犬に発症します。
これは、脳の中にジステンパーウイルスが潜んでいたために起こるものです。
ですので、ジステンパーウイルスに感染後、数週間~数ヵ月経過後に神経症状を示します。
生後半年以内の幼犬で、突然のけいれんなどの神経症状が見られます。

・慢性症
慢性症は、4歳~8歳程度の犬にみられます。
徐々に病気が進行していくことにより、時々けいれんや麻痺の症状が現われます。
性格の変化や飼い主を認識できないなどの症状に加え、視力消失などの脳炎に近い症状をきたします。

ジステンパーウイルス感染症の原因

ジステンパーウイルス感染症の原因は、ジステンパーウイルスに感染した他の動物との接触や飛沫などにより感染してしまうことが挙げられます。
※犬以外にもフェレットや猫、キツネ、アライグマ、猿などにもジステンパーウイルスは感染します。

ジステンパーウイルス感染症の予防

ジステンパーウイルス感染症は、動物病院でワクチンを接種することで予防が可能な病気です。
幼少期の犬のワクチンプログラムは、必ず定められた期間、定められた回数をこなしましょう。

しかし、ワクチンを接種する前に感染してしまうと予防は不可能です。
ですので、ワクチンプログラムが完了していない子犬は他の動物との接触を避け、屋外に出さないことが大切なのです。

ジステンパーウイルス自体は、70%のエタノール(アルコール)や石鹸での手洗いなどで死滅するような弱いウイルスです。
飼い主さんは他の犬や動物に触れた後、ペットに触る前は手洗いや消毒を行うようにしましょう。

また、もし、ペットがジステンパーウイルスに感染してしまい、亡くなってしまった場合は、使っていたスペースや食器類などの消毒を行い、次のペットを迎えることは最低でも3~4か月の期間を空けなければいけません。
子犬で急性症、亜急性症で亡くなった場合は、同じブリーダー(犬舎)を避ける、同じペットショップを避けるなどの工夫を行いましょう。

犬ジステンパーウイルス感染症になりやすい犬種

全ての犬種

わんちゃんに不安なことがあれば、獣医さんにご相談ください。

投稿者プロフィール

みやびさん
みやびさん小動物看護士・ペット繁殖指導員・ペット販売士
ポメラニアンとポメチーの女の子のママしています。
ペットショップ勤務をしていましたが、現在はペットに関するライターをしています。
家族と犬がより良く過ごせるように応援しています♪
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次