犬も人間と同じようにストレスを感じる生き物です。
昔は、さほど犬のストレスに関心が薄かった時代もありましたが、近年は、人間のストレス社会がニュースやメディアに取り上げられることにより、それに伴い、パートナーであるペットにもスポットライトがあたるようになってきました。
犬のメンタルヘルスを健康に保つためには、どのように生活を送っていくことが大切なのでしょう?
また、ドックハラスメントとは一体どのようなものなのか、ご紹介したいと思います!
ハラスメントとは、そもそもどういうことを指すのか?
ハラスメントと言えば、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどが有名ですよね。
他にも、モラルハラスメントやマタニティハラスメントなど、ハラスメントの種類は今や30種類以上にも及びます。
そもそも、ハラスメントの意味を調べてみると、
嫌がらせ(いやがらせ)とは、他者(特定、不特定多数を問わず)に対し、不愉快な気持ちにさせることや、実質的な損害を与えるなど、不快感を与える行為の総称であり、ハラスメント(英: Harassment)とも呼ばれる。
wikipediaより
このように出てきました。
よって、ドックハラスメントとは、犬に対する嫌がらせ…ということになるのですが、飼い主さんからすると愛犬に嫌がらせをしてやろう!と思ってしている人はいないと思います。
しかし、ペットと一緒に生活する中で、気付かないうちにドックハラスメントに繋がってしまっていることがあるようなのです!
どんなことがドックハラスメントになってしまうのか、一緒に見て行ってみましょう。
それ、本当に必要?
知らないうちにドックハラスメントしてませんか?
ドックハラスメントと言われても、気付かないことが多いのが現状です。
何故なら、犬は家族と同じように生活しているからです。
もっと突き詰めて言うと、家庭内で起こっているからなのです。
『うちではこれが普通だから…』『いつも通り』と思ってしていることが、視点を変えるとドックハラスメントと呼ばれる行為のときもあるのです。
ごはん編
・ごはんやおやつ前の『マテ』本当に必要?
実は、ごはんの前の1分以上のマテ…典型的なドックハラスメントです。
マテのしつけは犬にとっても飼い主さんにとっても大切なものですよね。
しかし、なぜ、ごはんの前に待たないといけないのでしょうか?
犬は、ごはんや大好きなおやつを目の前にして我慢をしなければいけない状況になります。
これは犬にとっては、すごくストレスを感じる行為であると言えます。
・ごはんの様子が気になるからついついジッと見てしまう。
人間もそうですが食事中にジッと見られると、落ち着きませんよね。
犬も同じように、落ち着いてごはんを食べることができなくなる子もいます。
・体重管理のために急にごはんの量を減らす
犬の肥満は様々な病気の要因になることが多く、飼い主さんも肥満にならないように注意を行っていると思います。
犬種ごとに適正体重は決まっていますが、犬にも人間と同じように個体差により、ポッチャリだったり大柄だったりすることもあります。
肥満とは、適正体重から15%増えていることであることに注意してあげましょう。
体重管理のために急激に食事の量を減らすことは、犬にとって大きなストレスになります。
また、人間でも急激なダイエットは体調不良の原因に繋がったりしますよね。
これは犬も同じであり、体重管理専用のフードに切り替えて食事の質を変化させてあげたり、適度な運動も加えながら緩やかにおこなってあげましょう。
これらのごはんに関するドックハラスメントは、犬の食事に対する強い執着心を植え付けます。
さらに、もしかして自分のごはんを狙っているのだろうか…と不安や不信に繋がってしまい、早食いや食事中に唸るなどの行動に発展してしまうこともあるので、やめてあげましょう。
お風呂、排泄編
・排泄のたびにお風呂で洗ったりゴシゴシ拭く
愛犬をきれいにしたい一心で、排泄のたびにゴシゴシ拭いたり、お風呂で洗うこともNGです。
犬の皮膚は人間のあかちゃんよりも薄くデリケートですので、ゴシゴシ拭いたり、過度に洗い流すことは皮膚炎などの病気に繋がったり、乾燥により痒みを伴うことがあります。
拭いたり洗い流すよりも、排泄物が付いて不潔にならないように、お尻の周りの毛をカットしてあげることが大切です。
・お風呂の回数が多い
犬のお風呂は1ヵ月に1度が適切で、多くても2週間に1度が理想です。
お風呂は犬の体力を使うこともストレスになりますが、それよりもシャンプーにより、自分のにおいが消えてしまうことに不安を感じ、ストレスになってしまうことがあります。
・トイレを失敗した時にすごく怒られる
犬にトイレのしつけを行っていても、たまに粗相をしちゃうことありますよね。
トイレシーツに前足が乗ったことによって、お尻までトイレシーツに入っていると思い込み、失敗してしまうこともありますし、外でトイレのしつけを行っている子が雨や風で散歩や庭に出られない時なども失敗してしまうこともあります。
ここで重要なのは、犬がトイレを失敗しても、何も言わず片付けることです。
大きな声を出したりして注意すると、犬は排泄自体がいけないことだと誤った認識をしてしまい、トイレを我慢するなどのストレスに繋がります。
トイレは成功した時に褒めたたえ、失敗した時は何事も無かったようにすることが一番です。
生活編
・寝ている犬が可愛くてちょっかいを出す
愛犬の可愛い寝顔を見ていると、ついついちょっかいを出したくなる時ってありますよね。
夢を見ている時など、走るような動きをしたり、寝言を言ったりで、大丈夫なのか…と不安になることもあると思いますが、いい気持ちで寝ているところを起こされると、犬もムッとしますので静かに寝させてあげましょう。
・過度なスキンシップをする
愛犬が好きすぎてスキンシップが多くなりすぎることも、ドックハラスメントに繋がることも。
飼い主さんがおでかけをするときや帰宅時に、必要以上に声掛けをすることもストレスになり、分離不安症に繋がることもあります。
外出は、サッと自然体で出かけて帰宅してあげましょう。
また、1匹でもお留守番ができるように、普段から一人遊びの時間を大切にしてあげましょう。
・長い時間の留守番
犬は群れで行動することを好みます。
それは太古の昔、犬の祖先が狼であったことに由来しています。
ですので、お留守番は犬にとっては苦手なこと。それが長時間になると苦痛に感じてしまう犬もいます。
本当に飼い主さんは帰ってきてくれるのか?また会えるのか?と思うことでしょう。
遺棄された経験がある犬や、飼い主さんが変わった経験がある犬は特に、不安になってしまうようです。
ですので、飼い主さんは犬が待っていることを知っていて欲しいのです。
仕事の都合などで、いつもより帰りが遅くなってしまうこともあるでしょうし、飼い主さんにも息抜きの時間が必要であること、それは仕方がありません。
そこで大切なことは『何があっても飼い主さんは戻ってくる』という信頼関係であることです。
上記の「過度なスキンシップをする」にも書きましたが、1匹でもお留守番ができるように、普段から一人遊びの時間を大切にしてあげること、どんなに時間がかかっても飼い主さんが何食わぬ顔で帰宅すること、これが犬の安心に繋がります。
・休日にまとめて散歩に行く
平日には散歩に行かず、飼い主さんのお休みや都合に合わせて散歩に行くこともストレスに繋がってしまうことがあります。
散歩は、時間は飼い主さんの都合のいい時間、都合のいいルートで構いません。
ですので毎日、適度な運動を行わせてあげましょう。
休日に平日分もまとめて散歩を行うと、運動時間が長時間になりがちで、犬にとっては楽しいはずの散歩が疲労困憊になってしまいます。
毎日、適度な運動を行うことが健康に生活するために必要なことを知ってあげましょう。
また、年齢や犬種に応じた運動量を知り、プログラムを組んであげることが大切です。
・ベッドの真横にトイレを置く
犬は寝床とトイレを分ける習慣を持っている生き物です。
このことから、寝床にトイレが近いとストレスを感じます。
サークルなどでも仕切りを作って、トイレはなるべく寝床から距離をとってあげましょう。
犬のメンタルヘルスを健康に保つことが大切
いかがでしたでしょうか?
ドックハラスメント、気付かないうちにやってしまっていることありませんでしたか?
犬は、私たち人間と違って、声を挙げて『やめて』『いやだ』とは言えません。
飼い主さんが犬の習性をよく理解し、ストレスを軽減してあげることが大切です。
しかし、ストレスを感じると言っても、私たち人間同士でも差があるように、犬によっても個体差で差があります。
重要なのは、ストレスを慢性的にしないこと。
度重なったり、長時間、長期間のストレスは健康に悪影響を及ぼします。
犬の場合は、飼い主さんと離れることに対し、過度の不安、恐怖を抱えパニックになってしまう分離不安症、人間で言う強迫観念のようなものである常同障害を発症してしまうこともあります。
これらの病気は、犬の精神疾患(心の病気)として、近年になり話題に挙がってきたものです。
それだけ、犬に何らかの関係がある人たちが、犬のメンタルヘルスに対して関心を寄せているということになります。
筆者の体験談
『分離不安症のポメラニアン』
実は、筆者が飼っていたポメラニアンも分離不安症を患っていました。
クリーム色のポメラニアンで生後3ヵ月でブリーダーさんから、おうちに迎えました。
子犬のポメラニアンって、毛玉が転がっているようでものすごく可愛いんですよ。
もう、今になって思っても、溺愛でした。
『一心同体』という言葉がそのまんま形になったような生活で、車の中まででしたがお買い物に行くときも、ペット関係のお仕事でしたのでお仕事の時も、ペットが泊まれる宿などを利用して旅行に行くときも、寝る時も一緒のお布団で寝て、本当にどこに行くにも一緒でした。
お風呂に入っている時も、ドア越しに愛犬の影が見えたり、トイレから出てくるとドア前で待っていてくれたり、と愛犬も私と一緒にいたいんだ~!と喜んで、楽しい生活を送っていました。
それが崩壊したのは、3年後のある日のこと。
その日は、どうしても犬の同伴ができないお仕事が入ったため、愛犬をお留守番させないといけない日が来たのです。
愛犬に何度もゴメンねを繰り返し、多くのスキンシップを取り、いつものように玄関まで付いてこようとする愛犬をサークルに入れてお仕事に向かいました。
ドア越しに愛犬の鳴く声が聞こえて、泣きそうになったことを今でも覚えています。
仕事中も、気が気でなくて普段より急いで仕事を終わらせて帰宅しました。
嬉しそうに全身で喜びを表す愛犬。お留守番ができたことを長時間、ものすごく褒めちぎりました。
その後、数日空けて、また同じように犬の同伴ができないお仕事が舞い込み、一度成功したんだから頑張ってね!ゴメンねと、愛犬を置いてお仕事に向かおうと玄関のドアを閉めようとした時。
キャイーンキャイーン!といつもと違う愛犬の大きな鳴き声が聞こえてビックリして戻る私。
戻ると、静かになり尻尾を振って嬉しそうにしています。
怪我でもしたのかと思い、愛犬の全身を確認後、異常が無かったため、再び声をかけて玄関に向かう私。
すると、再び愛犬の悲痛な声が…。
それでも仕事の時間は迫ってきます。仕事に行かねばいけません。
でも、鳴き声が聞こえて何度も戻る私。
愛犬のそばにお気に入りのぬいぐるみや、私のにおいのついた服を置いて、愛犬の鳴き声を聞きながら半泣きになりながらお仕事に向かいました。
仕事中、当然のごとく上の空です。気になって気になってどうしようもありません。
仕事が終わり、飛ぶように家に帰宅しました。
そこで、私が見たものは…。
まず、目に飛び込んできたのは、ぬいぐるみを食いちぎって綿が散乱しているサークル内、掘ったのか傷だらけの床…。
なにがあったのかパニックになりつつ、愛犬を抱えて見てみると、サークルを脱出しようとしたのか鼻の薄皮が剥けてしまっていました。
泣きながら、愛犬に謝り、お留守番をさせたことを後悔しながら、サークルの片付けをしていると、サークルにもかじったり掻いた跡なのか、傷がたくさんついていました。
今まで犬を飼ってきてこんなことになったことは、はじめてですぐにネットで調べました。
思い当たるようなものがなかなか見つからず、数時間たった頃…ついに見つけました。
『分離不安症』
読み進めるうちに、私が愛犬を病気にしてしまったのだ、とショックを受けました。
次の日は、怪我をした鼻の診察に動物病院へ行くのも兼ねて、相談しに向かいました。
どのように生活すればいいのか、どのように愛犬にしてあげることがベストなのか必死に話した結果、お薬は使わず、時間をかけて生活環境を変えることで治療を行うことにしました。
生活環境を変えることは、犬を置いての外出機会を増やす、テレビやラジオなどの生活音で誤魔化しながら外出時には声をかけない、あくまで自然体で振る舞う、帰宅時にかまいすぎない、一緒にいる時もサークル内に誘導するようにするなどを行うことで、通常なら何ともないことなのですが、これが非常につらい…。
犬も飼い主に強く依存していますが、飼い主も犬に強く依存してしまっていることで、本当に険しい道のりでした。
しかし、根気強く行い、半年後には1匹でも上手にお留守番ができるようになりました!
犬の分離不安症は、飼い主さんも分離不安症に陥ってしまっているケースが多いようで、お互いストレスを強く感じてしまい、治療がとても大変です。
しかし、愛犬のために、諦めずに頑張って取り組んであげて欲しいと思います。
そうすることで、犬にとっても飼い主さんにとっても、今よりももっと良い関係が築けると思います。
投稿者プロフィール
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ポメラニアンとポメチーの女の子のママしています。
ペットショップ勤務をしていましたが、現在はペットに関するライターをしています。
家族と犬がより良く過ごせるように応援しています♪
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