その③ ついにわんことの生活!編

新しい家族の一員として、あなたのおうちにわんこがやってきました!
おうちにわんこを迎えた後にも、まだ行うべきことがあります。
どこでどのように何をするべきなのかお伝えしていきます。


目次

法律で義務付けられている3つのこと

犬と生活を送る上で、法律で義務付けられていることがあります。
飼い主としての責任として、必ず行うようにしましょう。

①鑑札の登録

生後91日以降の子犬は、犬を家族に迎えてから30日以内に『これは私の犬になりました』と登録を行わないといけない決まりになっています。
これは、犬の飼い主さんを明確にするため、現在居住している市区町村に犬の登録を行います。
言ってみれば、犬の住民票のようなものです。
生後91日に満たない犬の場合は、91日を経過後、速やかに登録を受けましょう。
登録料は3,000円程度が必要です。
登録が完了すると、登録番号が記載された鑑札札が発行されます。
鑑札は、1頭の犬ごとに登録が必要となります。
そして、引っ越しなどを行う場合などは、移転先の市町村に再度登録をしなければいけません。
鑑札を破損、紛失してしまった場合は再交付が必要となり、1,600円程度の手数料が必要になります。
また、愛犬が亡くなってしまった場合は、30日以内に登録の抹消を行いましょう。

②注射済票の発行

注射済み票の発行を受けましょう。
これは、後述する狂犬病予防接種を受けた証明になります。
鑑札の登録や注射済票の発行により、毎年の予防接種のおしらせが自宅に届くようになります。
毎年、接種させることも法律で義務付けられています。

③犬の鑑札と注射済票を取り付ける

この2点の交付が完了したら、犬には鑑札札と注射済み票を取り付けてあげましょう。
これらのものは、ドックランやペット同伴OKなカフェ、トリミングサロン、ペットホテルなどの施設でも提示する必要があるところもあります。
ですので、首輪やハーネスなど、すぐに見える場所に装着してあげましょう。
間違っても、飼い主さんのカバンの中やポケットの中での保管はやめましょう。
鑑札は、災害時や迷子などで保護された時に飼い主さんの情報を確認し、対処する方法でもあるので、犬に装着することで意味があります。
また、注射済票も狂犬病予防接種を受けている犬である証明なので、万が一、人や他の犬を咬んでしまった場合にも役に立ちます。

この3点が法律で義務付けられていることになります。

動物病院へ行こう!

犬を家族に迎えたら、動物病院にも行かなければいけません。
犬にどこか異常がないか、初期の健康診断を行うようにしてもらいましょう。
そして、狂犬病の予防接種とワクチンの接種を受けましょう。
病院によっては予約が必要な場合もあるので、あらかじめ電話で確認をしておくと安心です。

狂犬病予防

狂犬病予防接種は、法律で義務付けられており、生後91日以降の犬に毎年接種させなければいけない決まりになっています。
狂犬病は感染動物の唾液を介し感染し、発症してしまうと有効な治療法はなく、人、動物ともにほぼ100%の致死率にのぼる恐ろしい病気です。
日本では、昭和25年に狂犬病予防法が制定され、昭和33年以降発生はしていません。
しかし、他国ではまだまだ撲滅には至っていないことから、感染してしまった人を含む動物が多くいます。
近年では2020年に滞在先のフィリピンにて犬に噛まれ、日本に帰国後に発症、死亡した例も挙がっています。
狂犬病の感染経路は主に犬ですが、他にもコウモリやキツネなどにも感染します。
狂犬病の予防接種は毎年4月~6月までが期間になっていることが多く、お住いの各市町村の集合注射が行われます。
それ以外の期間の場合は、動物病院にて個別で注射が受けられます。
狂犬病の予防注射の接種が完了したら、各市町村に届け出ることで、上記に案内した注射済票の発行ができるようになります。(場合によっては接種した動物病院での発行が可能である地域もあるようです)

混合ワクチンについて

混合ワクチンとは、犬同士などの伝染病を予防するために、任意で受けるワクチンのことです。
狂犬病ワクチン以外のワクチンはいつ始めなければいけない、という明確な決まりはありません。
しかし、子犬の場合、母犬からの母乳によって発育し免疫を保っていますが、それも徐々に減っていきます。
よって、免疫が薄れてくる生後6週~2ヵ月に1度目のワクチン接種を受け、その後、免疫を確実に定着させるために生後3ヵ月までに2~4週間隔で追加で2度接種し、合計3回のワクチン接種が推奨されています。
これをワクチンプログラムと呼びます。
そして、混合ワクチンには、『コアワクチン』と『ノンコアワクチン』の2つがあり、組み合わされています。
一般的なワクチンの表を掲載しておきます。
ただし、動物病院や製薬会社によって含まれるワクチンの種類が異なる場合もあります。

コアワクチンとは、犬にとっては非常に危険な感染症を防ぐ目的のワクチンであり、接種することが強く勧められています。ちなみに、狂犬病の予防ワクチンもコアワクチンに入ります。
ノンコアワクチンとは、犬の生活環境に応じて感染リスクがある感染症を防ぐ目的のワクチンです。
ワクチンの種類は、2種~11種まで幅広いものですが、全てを受ける必要はありません。
子犬は特に、一度に多くのワクチンを接種することで、副作用のリスクも高まります。
子犬がどのような生活環境を送るのか、獣医師さんに相談して決めると安心できます。

ワクチンの料金について

ワクチンの料金についてですが、下記のようになります。
◆2種・3種…約3,000円~5,000円
◆4種…約5,000円~6,000円
◆5種…約5,000円~7,000円
◆6種…約5,000円~8,000円
◆7種…約6,000円~9,000円
◆8種…約7,000円~10,000円
◆9種…約8,000円~10,000円
◆10種・11種…約8,000円~12,000円
価格も動物病院や製薬会社によって異なる場合がありますので、電話などであらかじめ確認をしておくと安心できます。

混合ワクチンプログラムが完了したら、子犬はついにお散歩デビューを果たせるようになります。

子犬ではなく、成犬を里親などで譲り受けた場合は、過去にワクチンを接種している可能性があります。
どのようなワクチンを接種していたのか、元の飼い主さんに聞いておくと安心できます。
また、『時期はいつ接種していたのか』も重要になりますので、確認をしましょう!

混合ワクチンプログラム完了後はどのようにしていけばいいのか?

混合ワクチンプログラム完了後は1年に1度の追加接種が推奨されていましたが、近年は副作用のリスクの懸念から、接種の延期などの方法も考案されています。
また、逆にワクチンプログラムを完了した犬でも極稀に免疫がうまく定着していない恐れも出てきています。
このことから、まずは、抗体検査を行い免疫がきちんと定着しているかどうかを動物病院で検査してもらう必要が重要視されています。
ドックランやトリミングサロンなどによっては、1年以内のワクチン接種証明書の提示を求められることもありますが、実はワクチン接種の適正回数や頻度、免疫の定着は犬の個体によって差があり、様々なのです。
犬の体質によっては、ワクチンの効果が1年も継続しなかったり、逆に3年以上も免疫の定着が認められた犬もいます。
免疫の定着があるのに、追加でワクチンを接種することは、過剰接種に繋がる恐れもあるのです。
抗体検査は血液検査で行う方法なので、次回の追加ワクチン接種を希望するなら動物病院で検査を受けてからにしましょう。

マイクロチップについて

マイクロチップとは、犬の背中側の首元に注射で埋め込まれることにより、動物の個体識別を目的とした電子標識器具で、直径約1~2㎜、長さ約8~12㎜の円筒状であり、表面はポリマーや生体適合化ガラスで覆われており、見た目は小さなカプセルです。
マイクロチップ内部には、15桁の番号が書き込みされたICとコンデンサ、電磁コイルが含まれています。
そして、飼い主の情報を登録し、15桁の番号と一致させることで、誰が保有している犬なのかを明らかにすることができます。
これにより、災害時を含む迷子、盗難された犬、飼育放棄、捨て犬を防ぐこと、殺処分の減少が可能となるのです。
2019年の動物愛護法の成立により、ペットショップやブリーダーで販売される犬・猫へのマイクロチップ装着が義務化、一般の飼い主に対しては努力義務が決定され、施行は2022年6月から始まります。
生後90日以降の犬は、犬を取得した日から30日以内に環境省が定める基準に適合したマイクロチップ(国際標準化機構(ISO)の規格)を装着しなければなりません。
ちなみに、ペットショップやブリーダーで販売される犬は、2021年6月施行の動物愛護法改正により、生後56日以下の子犬の販売を原則禁じる『8週齢規制』に則っているので、大半が生後3ヵ月程度(生後90日以降)の子犬になり、多くが既にマイクロチップを装着、もしくは装着後の引き渡しになります。
そして、犬を飼った場合は、新しい飼い主さんによってマイクロチップの情報を更新・変更させることが義務化されました。
店頭で並んでいる犬の元の所有者は、基本的にペットショップやブリーダーさんになります。
また、ボランティア団体などの保護施設から迎えた犬の場合ですが、マイクロチップ装着済みであることが多いでしょう。
ですので、この場合もマイクロチップの情報を更新・変更を行いましょう。

ペットショップやブリーダー以外の一般の方から犬を譲り受けた場合は、マイクロチップの装着は努力義務になっているため、絶対に装着しなければいけないということではありません。
しかし、マイクロチップは、首輪に付ける迷子札などと違って、体内にあるものなので無くす心配もないため、犬を安全に守りたいのであれば、マイクロチップの装着をおすすめします。
マイクロチップの埋め込みは、短時間で終わるものなので長時間の苦痛があるわけではありません。また、避妊・去勢手術などの全身麻酔時にマイクロチップの装着をすることも可能なので獣医師さんに確認しましょう。
マイクロチップを装着後の犬を譲り受けた場合は、情報の更新・変更も忘れずに行ってください。

マイクロチップの変更届の行い方と料金

マイクロチップの変更届は、既存の民間登録団体と合わせて、環境省のデータベースにも登録を行いましょう。
登録や変更はパソコンやスマートフォンからオンライン、または紙面での手続きになります。
申請には獣医師が発行した、マイクロチップ装着証明書、犬の以前の所有者の登録証明書が必要になりますので、準備しておきましょう。
また、登録完了時には新しい登録証明書が発行されますので大切に保管しましょう。
各手数料、支払方法は概ね、下記の表のようになっています。

支払方法については、今後追加されていく情報もあると思いますので、チェックしましょう。
環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室のQ&Aホームページはこちらです。

ちなみに、ヨーロッパやオセアニア、アジアなどの海外ではマイクロチップの装着義務化が進んでおり、世界各国において装着は進んでいます。
オーストラリアやニュージーランドでは、マイクロチップを装着していないペットの輸入は全面禁止、日本でもマイクロチップの装着義務が2004年に義務化されています。
日本では、海外にペットを連れて出国する時や、海外から日本にペットを連れて入国する時の動物検疫で必要となっています。

万が一、マイクロチップを装着し、環境省のデータベースに登録している犬が残念ながら亡くなってしまった場合は、死亡の届け出を行いましょう。
オンライン、または紙面による届け出で行うことができ、手数料は無料です。

避妊・去勢手術について

犬を飼うにあたって避妊、去勢手術のことを耳にしたことがある方もいると思います。
近年では、避妊、去勢手術は、もはや一般的になってきていますが、周りがしているからしておくという気軽なものではありません。
やはり、手術をすることはリスクもあります。
しかし、手術をさせることが一般的になるほど、メリットもあるのです。

避妊手術(女の子の犬)

避妊手術は、妊娠に関わる子宮や卵巣を手術によって摘出します。
手術は全身麻酔によって、開腹して行います。
一般的に生後半年~10ヵ月程度ではじめての発情を迎える子が大半で、これよりも前に手術を行うことで乳腺腫瘍の発生率を下げることができます。
また、偽妊娠を防ぐこともできます。

◆メリット
・発情が無くなる
・不必要な交配や妊娠を避けられる
子宮蓄膿症の発生予防になる
・乳腺腫瘍の発生率の低下
・卵巣疾患の予防になる
・偽妊娠の発生を抑える
・発情中のフェロモンを抑えることで、他の男の子の犬が寄って来づらくなる
◆デメリット
・全身麻酔のリスク
・避妊手術後は代謝エネルギーが低下するため、太りやすくなる

避妊手術は、女の子特有の病気のリスクを減らすのみならず、不必要な交配や妊娠を避けられることが大きいメリットです。
例えば、ドックランなどで飼い主さんが少し目を離した時に交配してしまい、妊娠してしまったなどのことを避けることができます。
犬種にもよりますが、犬は多産と言われています。
そして、小型犬のような体の小さな犬は難産になりやすく、命に関係してくることもあります。
また近年では、先天的な異常を持った犬の交配を避けるように勧める動きもみられています。
避妊手術後は手術前と比較して、代謝エネルギーが低下するため、太りやすくなってしまいます。
ですので、肥満にならないように食事内容や運動によってコントロールしてあげる必要があります。
これらのことを踏まえて、避妊手術が必要かどうか検討しましょう。
不安な点があれば、獣医さんに相談しましょう。

去勢手術(男の子の犬)

去勢手術は、繁殖に必要な精巣を手術によって摘出します。
手術は全身麻酔によって、精巣付近の皮膚を切開して行います。
一般的に生後半年~10ヵ月程度で性成熟を迎える子が大半と言われています。
しかし去勢手術後は、男性ホルモンの分泌が無くなるため、攻撃性を抑えることができるようになったり、精巣や前立腺の病気の発生を防ぐことができます。

◆メリット
・肛門周囲腺腫の発生率の低下
・前立腺の病気の発生率の低下
・精巣腫瘍の予防
・喧嘩や攻撃性の低下
・放浪などの行動抑制
・マーキングやマウンティングの改善
◆デメリット
・全身麻酔のリスク
・避妊手術後は代謝エネルギーが低下するため、太りやすくなる
・喧嘩や攻撃性の低下、放浪などの行動抑制、マーキングやマウンティングの改善が見られないこともある

男の子の犬には発情期というものが無く、女の子の発情期中に出すフェロモンによって興奮します。
よって、未避妊の女の子の犬が近くにいる場合は、注意しましょう。
去勢手術は、男の子特有の病気の発生を低下、予防させることがメインであるメリットです。
マーキングやマウンティングの改善を期待して、去勢手術を行う方もいますが、全ての犬で治まるといったことはなく、犬によっては効果が薄いこともあります。
これらの行動は、犬にとって群れの中での上下関係を確認する方法でもあるので、去勢手術を行ってもこのような問題が発生することは、他に原因がある可能性があります。
去勢手術後は手術前と比較して、代謝エネルギーが低下するため、太りやすくなってしまいます。
ですので、肥満にならないように食事内容や運動によってコントロールしてあげる必要があります。
これらのことを踏まえて、去勢手術が必要かどうか検討しましょう。
不安な点があれば、獣医さんに相談しましょう。


いかがでしたでしょうか?
犬を飼うことは、これらのことを行って、はじめて一人前の新米飼い主さんになれます。
犬は人間にとって良きパートナーです。
困った時は、犬仲間や獣医さん、ペットショップの店員さんなどに相談して楽しい時間を過ごしてくださいね!

投稿者プロフィール

みやびさん
みやびさん小動物看護士・ペット繁殖指導員・ペット販売士
ポメラニアンとポメチーの女の子のママしています。
ペットショップ勤務をしていましたが、現在はペットに関するライターをしています。
家族と犬がより良く過ごせるように応援しています♪
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